実録・キャッチセールスにご用心

〜タカシさんはこの世に存在しません〜

 

 大賀家には電話に関する規則がある。
1 自宅にかかってくる俺あての電話は、よほど身分が明確でない限り取り次がない。
2 身分確認に関係なく「タカシくんいらっしゃいますか」と言ってきた場合は、絶対取り次がない。
 まあどっちの場合でも要は俺と親しくない人間なんだから切られてもしょうがないでしょう。 だいたいケータイの番号知らなくて家だけ知ってるやつなんてあんまいないし。
 これらにより俺はキャッチセールスとはあまり戦っていないわけだけれども、これらの障壁をかいくぐって俺を勧誘できる唯一のチャンスがある。「本人が電話に出る、寝起きやオール明けなど不調ぎみ、名前を使わず「息子さん」とか「ドコドコに通っている」系で俺を指名する」このへんが重なると、うっかり「はい僕です」と言ってしまうのである。ウカツである。今回のトリ○ティアカデミーもこのチャンスに見事あてはまり、俺をして僕ですと言わしめ、勧誘トークを始めたのである。俺は電話を切れなかった時点で捕まったことに気づき、どうしてくれようかと策をめぐらす。とりあえず話させるか、しょうがない。

  *うろ覚えなので順番とか言葉づかいとかおかしいかも。

トリ○ティアカデミーからは以前も電話をもらっていたそうである。覚えていないけど。カマシか?
ハイテンションな女性が電話口の向こうでまくしたてる。
「以前にもうんたらかんたらの説明会のご説明をさせていただいて資料も送付させていただいたんと思うんですけれども、ご検討いただけましたかぁ〜?」
「いや、届いたかどうかよく覚えてないです」
「そうですかぁ〜。大賀くん、トリ○ティアカデミーって名前、聞いたことありますぅ?」
  めちゃめちゃあります。この前部室でオオモソとダメ出ししてました。
「いや、ないですね」
「あら、そう?」
  そりゃあ前に資料まで送ってるんだから知ってるはずだもんなあ。
「トリ○ティアカデミーでは、おもに大学生1、2年生を対象にどうたらこうたら...
  始めての人モードになったようだ。どう勧誘されても説明会には行きませんよ。
「...ところで、大賀君はいま何年生?」
「1年生です」
「あ、そうなんだぁ〜」
  知ってるくせに。
「え、学部は?」
  友達ぶるな!
「商学部です」
「商学部ね〜。大賀君は、なにかやりたいことがあって商学部に入ったわけ?」
  あー来た! やりたいことないなら何か身につけておけって流れだ!適当に返そう。
「いや特に。受かったんで」
「そうなんだ〜。え、大学はどこなの?」
  知ってるくせに。
「慶應です」
「へええ〜。慶應の商学部じゃあ、公認会計士めざしてる人とか多いんじゃないの?」
「いや、そんなでもないですよ。ぼくのまわりは」
そっか、大賀君のまわりは、か。」
  切るぞコノヤロウ。

(俺の受け答えが適当すぎるので中略)

「大賀君はさ、英会話とかパソコンとか興味ないかな?」
  なんでこういうのってみんな英会話とかパソコンなんだろう。
「ん〜、どうだろう」
「大学で英語ってやってる?」
「一応。適当ですけどね」
「そうなんだ。やっぱり英語とかしゃべれたほうがいいと思わない?」
  俺は前に同様のキャッチに捕まったとき、この質問にイイエと答えてみました。困られました。
「ああ、まあそのほうがいいでしょうね」
「そうだよね。トリ○ティアカデミーでは、どうたらこうたら... 慶應の人もいっぱい... どうたらこうたら...」


(中略)


「大賀君、今日の午後3時くらいとかヒマじゃないかな?」
  来た。でもどうせ行かないので流す。ここでごねても予定が変に先に作られるだけっぽいし。
「ええ、空いてますね」
「そしたら、今日の午後に新宿くらいなら来れるよね?」
「はあ、まあ一応」
「いま説明会をやってるのね。大賀君、新宿くわしいかな?」
  ここで、説明会来ますか?行きません。の流れで切ろうと決める。感じ悪ー。
「そんなには」
「ヤフーの看板があるのわかる?」
「そんなのあるんですか」
「うん、あるの。そこを(場所説明中)てね。いちおうビルの前に来たら電話もらえるかな。番号は5xxx-xxx4」
「はあ」
  電話番号はあとで確認されたりするんだよね。「ちゃんとメモとった?」とかいって。
「いちおう大賀君の担当は私になるのね。わたしxxxっていいます。下の名前で呼ばれることが多いけど」
「はあ」
  っていうか、俺に参加の意向を聞いてから話を進めてくれよ! って無理か。強行モード突入。

(中略)

「大賀君は、大学入ってやりたいこととか見つかった?」
「んー特には。公認会計士もなあって気がしてます」
「え?」
「いや、どうかなと」
  もはや意味不明。疲れてきた。
「何か、説明会で聞いてみたいこととかあるかな?」
「いや、とくにないです」
  強いていうなら会社の概要が聞きたいね。

「じゃあさ、大賀君はなんで説明会に参加しようと思ったの?」

「いや、思ってないですよ」

ピッ。

 俺自身「これは向こうにとっちゃ不快だろうなあ」と思った切り方だった。だって疲れちったんだもーん。これだからテレアポのバイトだけはどんなに時給高くてもやりたくないなと思う。でも違うんだ、向こうだって結局話しちゃうと切りにくいっていうこっちの良心を利用して勧誘してるわけなんだから、みすみす利用される筋合いなんかねえってもんだ。
 ちなみに切った直後、一回だけ「トゥルルル」と鳴りました。やっぱむかついたんだな。ごめんな。とりあえず謝っておくがこれはやる気ないのに中途半端に話を聞いちゃってゴメンという意味でありいきなり切ってゴメンとかじゃないのでお間違いなく、テレアポの方。

 とりあえずこんなところである。20分くらいであろうか。俺は押しに弱い人間ではあるが明らかに自分に不利益な勧誘は弾いているつもりなので大丈夫だけど、人によっちゃ捕まるんだろうなあこれ。何かで読んだけれど、こういう「○○に来て下さい」系の勧誘では、行ったが最後その事務所からは何かを買うまでは出してもらえないそうです。おそらく今回なら教材セットとかでしょうかね。契約書にサインするまで延々と「プロのセールスマン」のお話を聞くことになるのではナイデショウカ。おーこわ。うっかりサインしちまうね、そんなんじゃ。みなさんも気をつけましょう。

教訓
1 大賀家に電話しても俺は出ません。
2 キャッチはつきあうな。即切りでもいいから話を聞くな。
3 聞くハメになったらネタにしろ。あといつでも切って可。むしろそのほうが向こうのためかも。
4 テレアポのバイトはするな。
5 初志貫徹。

トリ○ティアカデミー関係者の方、これ見て俺にクレームつけないでね。

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